マスコミでは報じられない正しい情報をより多くの方々にお伝えしたいという思いから、《中丸薫のワールドレポートVol.34》の内容を特別に公開することにいたしました。

* 中丸薫のワールドレポートは毎月一日に発行されます。

《中丸薫のWORLD REPORT》 Vol.34 2001年8月号 INDEX

◆国際情勢◆
『「ニューエコノミー」から実体経済復活へ』

京都議定書離脱をめぐる、アメリカの真意とは…。
各国のエネルギー政策と、未来への責任
とは…。
◆トピックス◆
『グラビトニクスの時代』

グラビトンがもたらす人体への影響とは…

◆交友録◆
『ヘルベルト・フォン・カラヤン』

天才指揮者とうたわれたカラヤン。
その気難しき天才が、人生で最も感動した瞬間とは…




◆国際情勢◆
『「ニューエコノミー」から実体経済復活へ』

 七月二十二日、サミットが閉幕したが、結局欧米は米国の京都議定書離脱をめぐる溝を埋めることができずに終わった。そして日本は、京都会議の議長国でありながら、この問題で完全にはイニシアチブをとることができず、「日本は京都議定書の助産婦だったが、ボンでは墓堀り人」などと批判を浴びる結果となってしまった。

 周知の通り、米国は世界の二酸化炭素排出量の四分の一を排出するCO2大国である。その米国が去る五月十七日、新たなエネルギー政策を発表した。それには、民生用原子力発電所から出る使用済み核燃料の再処理を検討すること、新規建設が事実上ストップしている原発を推進すること、アラスカ野生保護区での油田・ガス油田開発、ガスパイプライン・送電線網の拡充などが盛り込まれ、ブッシュ政権の支持基盤である電力・石油・エンジニアリング業界が喜びそうな内容がふんだんに盛り込まれていた。米国では使用済み核燃料の再処理については、カーター政権以降、商業再処理禁止が原則。それが一九七七年以来初めて、くつがえされることとなったのである。そして、この方針が出されてからほどなくして、京都議定書からの離脱が決定された。これでは「米国は国際間の約束事を反故にするのか」と国際社会から批判されても仕方がない。一体、なにゆえ米国はこれまでのエネルギー政策を大きく変える決断をしたのであろうか。

 米国は京都議定書からの離脱について、「京都議定書は中国、インドなど、エネルギー消費が激増する途上国を含めておらず、現実を反映していない」「経済成長を許容する市場経済削減を目指すべきだ」と説明している。しかし途上国を対象にするかどうかの検討はすでに六年前に決着がついている。ブッシュ政権の本音は、エネルギー事情が悪化することで、米国の覇権が低下するという点にある。米国エネルギー省によれば、米国は二〇二〇年にはエネルギー需要が国内供給を四七・七%上回り、二〇年後にはエネルギー小国に転落しかねないという。そうなれば現在五十二%の原油輸入率はさらに上がり、供給国への依存度も高まる。これでは世界制覇を狙う国力としてはいかにも脆弱である。そこでブッシュ政権は、ミサイル防衛構想と並んでエネルギー政策を重要課題として掲げ、政策のとりまとめに取り組んできたのである。

 この背景には、政権交代を機に、自分たちの手に覇権を取り戻そうと画策するWASPを中心とした勢力がある。彼らが目指すのは、クリントン政権で「ニューエコノミー」勢に奪われた覇権を取り戻し、実体経済を立て直すことである。「ニューエコノミー」の主役は、金融であり、コンピューターソフト業界であった。シオニスト勢は製造業には弱いが、金融やソフト産業、マスコミでは世界を席巻するだけの力を持っている。彼らはクリントン政権下でその強大な力をもって世界へ進出し、巨万の富を集中させていった。だが、石油業界をはじめ、電力・製造業、そこに連なる政治家、官僚、利益団体にとって、これが面白いはずがない。そこで政権交代を機に、激しい巻き返しに出たのである。

米、英、日がエネルギー政策を転換

 ブッシュ政権にとって憂慮すべきことは、米国経済の空洞化であり、金融がリードする実体なき好景気であり、中国の急速な経済成長である。中国は二酸化炭素排出や廃棄物処理にコストを払うことなく、驚異的なスピードで工業化を進めており、近い将来石油輸入量が日本を追い抜くと予測されている。米国が京都議定書の代替案の枠組みについて、「温室効果バスの大きな排出国、気候変動に責任があるすべての国を含めたものにする」というこだわりを見せたのも、中国の経済発展、軍事力拡大を牽制したからであった。米国が中国より優位に立つには、エネルギーの安定供給を国策とし、エネルギー政策の面で中国より優位に立たなければならない。そのためには関係諸国との連携を強める必要もある。ブッシュといえば石油メジャーの印象が強い。だが、そのブッシュが原発推進に積極的になった理由には、友好国であるカナダ、オーストラリアがウラン供給国であるということとも関係している。

 米国の方針転換は、関係諸国にも影響を与えている。米国が原発推進を明らかにしてからほどなくして、今度は英国・ブレア首相がエネルギー政策の再検討を表明。原子力発電所の建設をしないというこれまでの公約を転換する可能性を明らかにした。英国の原発は、現在電力需要の約二十五%を賄っているが、新しい方針では「一九八〇年代から原発建設は凍結されており、このままではエネルギー供給に支障をきたす」と強調している。

 そして、米英と足並みを揃えるかのように、日本でもエネルギーをめぐる新たな動きが出てきた。自民党が制定を進めている「エネルギー政策基本法案」の中に、原子力を事実上中核的な電源とすることが盛り込まれたのである。同法案ではエネルギーの安定供給の必要性を強調したうえで、「化石燃料以外のエネルギーへの転換推進」が言及されている。

 一方、こうした原発推進の世界的な動きに「NO!」を突きつけた国もある。ドイツである。同国のシュレーダー首相は、六月十一日、主要電力四社の首脳と官邸で会談し、同国の原子力発電所を約三十年後に全廃するための協定文書に署名。ドイツ国内にある十九基の原発の運転期間を、運転開始時点から三十二年間と定め、満了次第、随時廃止するという決定を下した。シュレーダー首相は、ボンでの気候変動枠組み条約第6回締約国会議(COP3)に向けて、「ドイツは環境保護に対する責任を果たした。他国の手本になればうれしい」と述べた。残念ながら、米国はドイツを手本にすることはなかったが、米国をはじめ、私たち日本もドイツのこの姿勢を見習うべきではないだろうか。原発は決して「クリーン」なエネルギーではないし(原発を推進している研究者たちは決して「クリーン」ということばは使わない)、制御不能になったときの惨事はこれまでの原発事故で立証されている。今を生きる人間には、未来の地球や人類に対する責任がある。それを踏まえたうえで、自国の未来にふさわしい意思決定をするというドイツ国民の自立した精神性は、環境保護を超えて国家と国民のあるべき姿を示しているように思う。

 サミットでは、京都議定書に米国が参加する可能性はほとんどゼロになったことが明らかになった。米国はCTBTからの離脱も表明した。国際間で取り決めた約束を反故にしたことに不快感をあらわにしたのは、フランスのシラク大統領であり、スウェーデンのペーション首相だった。しかし、われわれ日本人にとってもっともやるせなかったのは、ブロンク議長が日本に批准を促すため、日本の要望を全面的に受け入れる特例措置を盛り込んだ案を提示したにも関わらず、取るべき道を即断できなかったこと、また、特例措置について事前に日本政府に何の根回しもなかったことである。国際社会から見て、やはり日本は米国の属国として映っているのではないだろうか。

 エネルギーの安定供給は、人間が生きていくために必要かつ絶対条件である。しかし、電力を例に取れば、山奥で発電された電気は、送電線を伝ってくるうちに八〇%以上が消滅するという無駄が生じている。これがもしひとつの町にひとつの発電所というインフラであれば、私たちは必要な電力を計画的に生産し、買い入れることができる。私たち大人は、こうした膨大な社会的な無駄に目を向け、こどもたちに未来を譲り渡す責任があるのではないだろうか。そして、何より重要なのは、これほどまでにエネルギーを消費する生活が正しいのかどうかを考えることであり、とめどもない欲望を見つめ直すことであろう。環境破壊も、戦争も、その源は私たちの心の中にある。この欲望をひとりひとりが抑制することが、今を生きる大人に求められている。

 


◆トピックス◆
『グラビトニクスの時代』

 今、私の携帯電話には小さな丸いつぶのセラミックが四つ貼られている。これは工学博士・関英男先生によって開発された有害電磁波対応の特殊高次元波動セラミックからつくられている。このセラミックは、特に周波数の高いグラビトン(重力波)セラミックと呼ばれており、電気製品などに貼ると有害電磁波から人体を守ってくれる。それは現在いちばん高い周波数と言われている十の十八乗の周波数をはるかに上回る、十の三十乗以上の周波数を持っており、光の早さで数百億年かかると言われる宇宙空間を、わずか一〜二週間で伝わる性質を持っている。その性質をセラミックに閉じこめたのがグラビトンセラミックである。

 グラビトンの最大の特徴は、人や場の「気」を微細にし、人や場を癒す力を持っていることである。と言っても、グラビトンが現代科学で認められているわけではい。なぜなら、世界的権威を持つ学会は、闇の権力の支配下にあるからだ。だが、グラビトンは決して荒唐無稽な話ではない。私たちの手からはグラビトンと同じような念波が出るし、脳内にはそれをキャッチするセンサーがある。手かざしで病が治ったり、「テレパシー」が起こるのも、この重力波で説明することができる。  関先生は、その分野においては世界の第一人者で、さまざまな生活雑貨が製品化されている。私もそのいくつかを愛用しているが、難しい理屈抜きで、とにかく家の中の空気が清々しくて気持ちいいし、疲れて帰宅してもすぐに回復する、という恩恵を感じている。よく邪気から身を守ることを「結界を張る」などと表現するが、私はグラビトンプレートを部屋の四隅に置いて「結界」としている。

 いいとなると「なぜいいのか」を追究したくなるのが私の特質である。実は先般イギリスに行ったとき、コーギル博士という著名な研究者にグラビトンの解明をお願いした。博士は携帯電話メーカーの反対を押しきって、携帯電話の電磁波がいかに脳に良くないかを学会の国際会議で発表した人物である。すると博士は約一カ月の研究を経て、「畑に置けば農作物の成長が早くなるし、水に入れれば水質が向上する。また、病人の近くに置けば病状が改善に向かうし、家の電気代が減ったケースもあった」ことをつきとめ、「これは人にも環境にも良い」という実験調査結果をデータと共に出して下さった。日本人の感性で言えば、「備長炭を敷き詰めた神社のよう」とでも言おうか、とにかくグラビトンには人や場の気を変える効果があるというのである。実際、私もその効果を日々体験しているので、博士の実験結果には「やっぱり」という思いだった。

 今人々は疲れ果て、不安に満ち、多くの人が荒くてとげとげしい脳波を発して歩いている。それが凶悪犯罪の呼び水ともなっている。だが、もしグラビトンのパワーを私たちが有効に生かすことができれば、荒廃した人心や自然は癒され、世界は今よりはるかに調和に満ちたものに生まれ変わるのではないだろうか。

 先日ある有名私立校に招かれ、中・高生とその親、合計三千人に講演する機会があった。中学生や高校生を対象にする講演会はあまりないのでわくわくした気持ちで臨んだが、これが予想以上に有意義だった。若い人たちは目を輝かせ、食い入るように私の話を聞いてくれた。そのエネルギーと私のエネルギーが交流し、話しているうちに私もますます元気になってくる。後日、届けられた感想文には、「私も広い見識を持って世界を見てみたい」「海外のいろいろな人と交流したい」「自分を大切にし、一日一日を有意義に生きていきたい」など、生きることを謳歌する若者らしい躍動感に満ちたことばがあふれていた。一見無気力に見える若者たちも、きっかけさえあれば誰もが豊かな感性を発揮する。そのことをこの体験は教えてくれた。

 問題は大人である。大人は果たして豊かな感性を発揮しているであろうか。美しいものを愛し、他人に思いやりの心で接し、日々を感謝する心の余裕を持っているだろうか。知性、理性、感情、本能のバランスの取れた「まろやかな心」を育てているだろうか。情報とスピードに翻弄される多くの現代人が、はたと考えてしまうだろう。私が講演をした学校は有名私立校であり、彼らは激しい受験競争をくぐり抜けてきたに違いない。しかし少なくとも私が見た生徒たちは豊かな心に満ちていた。それを引き出すのは大人たちの豊かな感性なのである。

 グラビトンのことを知って、私は私の言う「まろやかな心」「太陽のような心」がグラビトンによって加速されていくことを確信した。私たちもグラビトンと同じように、常にある周波数を脳波として発している。それがわかれば、イライラしたり、ストレスをもつことが周りの人や環境にどんな影響を及ぼすかがわかるであろう。ぜひ一緒に「まろやかな心」をめざし、日々感謝の心で過ごす努力をいたしましょう。

 

 


       ◆交友録◆ ヘルベルト・フォン・カラヤン
          (一九〇八〜一九八九年)

 天才が天才と言われるゆえんは、その行動も考えも凡人の理解を超える点にある。カラヤンはまさにそれだ。ザルツブルグの簡素なオペラハウスの一室。コールテンのズボンにトックリセーターといういでたちのカラヤンは、不機嫌な顔で長椅子に身を横たえていた。

 「好きな音楽?モーツァルトには大きな影響を受けましたが、いい音楽はすべて、人生でもっとも大切なものです。数え上げたらきりがありませんよ」

 ぶっきらぼうに答えながら、視線は決して落ち着くことがない。ただ一瞬、当時はまだ珍しかった出産の立ち合いに話が及んだときだけ、その動きが静止した。

 「妻の出産に…そう、立ちあった時…人生でもっとも感動しました」

 言い終ると、視線はやはりせわしなく動き始める。それが、スタッフがカメラを回し始めたとたん、突然輝きを放ち始めた。

 「いいかね。照明のコツはライトの位置なのだよ。私の背後に回ってそこからライトを当てなさい。鼻筋がくっきりと映え、人物が引き立つ。それからもう少しカメラを寄せなさい」

 その姿を見て、私はようやく目の前の人物が、あの偉大なカラヤンであるという確信を得た。

 マケドニアの貴族の出。弱冠二十歳で指揮者としてのキャリアをスタートさせたカラヤンは、「指揮者の神様」と言われたフルトベングラーの後を継いで、ベルリン・フィルハーモニーの終身常任指揮者の名誉を手にする。流麗で強烈。力強さと情緒の両方を兼ね備えた指揮は、世界中で熱狂的に受け入れられた。そんな彼の一番の楽しみが、自家用飛行機の操縦だった。

 「私はスピード感がたまらなく好きでね。ザルツブルグ、ウィーン、スイス、南仏の四ヶ所にある家を、自分の飛行機で行ったり来たり。朝は十時に起きます。それからプールで泳いだり、車に乗ったり、飛行機を操縦したりして、夕食後に演奏会場に入ります。えっ?戦争の話?そんなことはキッシンジャーにでも聞いて下さいよ!」

 相変わらずぶっきらぼうな様子の天才。だが、インタビューを終えた私に執事が嬉しそうに声をかけてきた。

 「ミセス・ナカマル、今日は大成功でしたよ!カラヤンがあんなに協力的に、しかも熱心にインタビューに答えるなんて、私、初めて見ました!」

 どうやらインタビューは成功だったようである。

 


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