真の平和を願い世界各国を歴訪

「世界はいつか、あらゆる宗教を乗り越えて一つにならなければならない」
 これは父、堀川辰吉郎がつねづね口にしていた言葉です。彼は明治天皇の息子として生まれ、人類の平和と和解に向けて、国家を越えた事業に生涯を捧げました。私は幼い頃から、そんな父の姿を見て育ちました。だからでしょうか。私の内側でいつしかごく自然に、『世界平和・人類の心は一つ』という確かなビジョンが煌めいていたのです。

「人間とは何か?」
「人間は何のために生まれてきたのか?」
「人間はみな使命と目的を持って生まれてきたはずだが、それは何か?」

 この3つの問いかけが、つねに私自身の“真実の探求”を導いてきました。
 ビジョンを胸に国際政治評論家として世界各国を訪問し、国家元首をはじめ、政治家、財界人、文化人など、200人以上のリーダーたちと出会いました。その中には、イラクのフセイン大統領、リビアのカダフィ大佐、北朝鮮の政府要人なども含まれています。実際に会った彼らはいずれも人間的な魅力にあふれ、「さすがに一国のリーダーは違う」と納得させられました。そして一様に世界平和を心の底から願い、その実現に向けて実際に行動している人たちでもあったのです。

 かし、彼らの願いや努力もむなしく、世界情勢がいっこうに変わっていかないのはなぜでしょう。どの国のリーダーも一人の人間としては平和を願っているにもかかわらず、見えない糸に操られるかのように国と国が対立を続けていたり、輝かしい富と名声を築き人々からの敬愛を集める世界的スターも、プライベートでは大きな孤独感を抱いていたり…。そのような現実に矛盾を感じるたびに、先の3つの問いかけが繰り返され、自らの内側を見つめる機会となったのです。

 多くの方々と出会い、語らい、心を通わせあう中で、国籍や民族、宗教、イデオロギーなどの違いがあっても、「人はみな深いところで繋がっている」と実感する瞬間が何度もありました。そして、たとえ人格や生き様、生きる環境が異なっていようと、すべての人の内側に“太陽の光”が輝いているのを知りました。それは“真の愛”“神の部分”あるいは“良心”“叡知”とも表現できます。実は、自らがその存在に気づいているかいないかの違いがあるだけなのです。


精神性に目覚め真実を探求する旅へ

 の人生において大きなターニングポイントと言える1976年のこと。私はある精神的指導者と出会いました。そして、いつもいつも心の中で繰り返されていた、人生の意味や魂のテーマについて理解する、的確な導きをいただきます。すでに亡くなっていた父の魂が、天上界にある今もなお娘の行く末を見守っていると伝えられ、魂は永遠であることを実感したのです。

 さらにその後、私は大変貴重な体験をします。アラブ首長国連邦を訪れザイド国王との謁見を終えた後、なぜか急に祈りたい気分になり浜辺に出て腰を降ろしました。心を静め、3つの問いかけを思い浮かべながら黙想していると、突然、海を引き裂かんばかりの雷光が走り、すさまじい音と共に雷が辺り一面に次々落ちてきたのです。不思議と恐怖は感じず、私はさらに神にすべてを託してひたすら祈り続けました。
 ふと天空を見上げると…、大きな光の柱が降ってきて、私の眉間を直撃したのです。光が身体を突き抜けていった後は、何とも言えない清々しさと調和に包まれた感覚でした。

 帰路の車中で、心の奥深くから声が響いてきました。
「“世界は一つ、人類の心は一つ”とあなたは言い続けてきた。今あなたの心の中で、ダイヤが輝いている」
 さっそくこの体験を、先の精神的指導者に電話で伝えました。彼はすべてを見通していたように、こう語ったのです。

「天はあなたに光を与えたと言っています。これからあなたは、自らの使命である“世界平和とワンワールド”に向かって流れをつくっていくでしょう」

 この霊的体験をきっかけに、つねに神の光に守られているという確信を得た私は、「これからの人生は、自らの使命と役割を全うするためにこの身を捧げよう」と決意しました。
 それまでテレビ出演や書籍の執筆、講演と、分刻みのスケジュールで多忙を極めていたマスコミ界から身を引くと、「人間復興に基づいた世界平和への動きは、いつの日か必ず日本から起こるようになる」という確信を胸に、基盤作りのため、国際都市ニューヨークへ活動の拠点を移します。そして、多くの大統領や国家元首、各分野のリーダー達と積極的に会い、世界平和への想いと“来たるべき日”に向けての財団法人づくりについて伝え、一人ひとりから賛同を求めていきました。
 こうした地道な活動の一つ一つが確かな歩みとなり、現在の『太陽の会』へと繋がっているのです。


ニューヨークで平和活動の核作りに成功

 1989年5月、私はかねてからの念願だった『世界平和のための国際シンポジウム』をニューヨークのプラザホテルにて開催しました。実はこのときの体験も、自らの限界にチャレンジし、ライフスタイルを転換する大きな学びとなったのです。
 このシンポジウムを実現するためには、世界各国の多くの方々から賛同を得るのはもちろんのこと、莫大な資金を自らの力で用意することが必要となり、最終的にはそれを捻出するために多くの私財を手放さなければなりませんでした。

「どうせ物はあの世へ持っていけるわけじゃないし、ビジョンをめざして頑張ろう」と家族に励まされ、数々の思い出がしみこんだ邸宅も事務所も思いきって手放しました。おかげで物質に対する執着から解き放たれ一気に身軽になった私は、不思議と身体の奥底からエネルギーが湧いてくるのを感じました。それ以降は、シンプルライフに徹することで、ますます精神的な強さや真の安らぎが得られることを実感したのです。

 い2日間に渡ったシンポジウムは、世界各国から大勢の方々が集まり、大成功を納めました。国連の一室において100カ国を越える記者団を前に開いた記者会見では、「世界平和とワンワールドを求めて」をテーマに、精神的な人間復興をめざす活動についてアピールし、多くの方々の賛同を得たのです。
 シンポジウムの成功がその後の平和活動の核となったことは確かで、実際このときの出会いが、数年後には南北朝鮮への訪問に繋がりました。
 できるだけ精神性の高い生活を送るよう、日々心の浄化に努めながら、世界各国を駆け巡り、ワンワールドの実現めざして民間外交を続けてきた私が、中でも心を尽くして取り組んできたテーマの一つが、現在、地球上で唯一分断された国家である南北朝鮮問題でした。

 一民族でありながら、未だに冷戦状態にある南北朝鮮。時代的・政治的背景のもと、両国が断絶を余儀なくされている現状がある限り、世界の人々の心が一つに結ばれていくことは難しい。
 そんな思いから私は「南北朝鮮の統一」を目標に掲げ、和平への掛け橋となるべく両国を訪れ、トップの方々と対話を重ねてきました。 特にここ数年、両国を訪れる機会が頻繁になり、意義のある交流とともにお互いの信頼をいっそう深めています。
 それぞれの国から国賓待遇でお招きいただき、平和への想いを分かち合い、本音で語り合ううちに、明らかに誤解と緊張が解けつつあることを実感しました。お互いに心を開いて向きあえば、必ず調和に向かえることを確信しています。実はすでに、金正日主席と金大中大統領は私の本三冊を読まれ、互いに握手を交わされたのでした。

 このように平和へ向かう確かな流れを実感する一方で、あるとき私は、事情に通じた信頼できる人々からの情報により、財力・政治力・軍事力を駆使して世界を支配しようとする<闇の権力>の存在を知ることになります。
 実は、その存在が何世紀にも渡って一般に隠蔽されている事実こそ、世界に平和が訪れない大きな理由の一つでもあったのです。
(※これに関しては著書の中で詳しく説いていますので、ぜひご一読ください。)